かつお節へのこだわり
鰹節の生産量日本一を誇る枕崎には、約40軒あまりの鰹節屋さんがあり、「食の世界遺産」とも言える鰹節を毎日作っております。
この鰹節には、本枯節(カビ付)、荒本節(パック原料)、新さつま節(柔かい節)焼生利節(非常に柔かい節)などがあります。
更に鰹節以外にも、さば節・そうだ節・まぐろ節・むろあじ節・いわし節等多くの種類があります。
かつお節の種類
一口に鰹節といっても様々な種類があります。その一部をご紹介します。
新さつま節
新鮮な鰹を原料に煮沸した後、長時間燻して仕上げた製品です。
栄養も豊富ですので、汁物の出汁やさらに茶節はもちろん冷奴、漬物などにかけてお召し上がり下さい。
本枯節
煮沸、燻してできた鰹節をさらに繰り返しカビ付けして水分を取り除いた最高級の鰹節です。
風味豊かで、澄んだきれいな出汁が取れます。
また、カビは無害ですが落としてご使用ください。
なまり節
新鮮な鰹を煮上げ、風味と日持ちを良くするため表面をいぶしてあります。
お茶漬け、煮付けまたはほぐして漬物や大根おろしの友としてお召し上がりください。
味付け節
なまり節を味噌や醤油で味付けした製品です。
酒の肴、お弁当のおかず等、食欲増進の友としておすすめいたします。
そのまま適当な厚さにスライスしてお召し上がりください。
(味噌節はお好みでスプーンでみそを取り除いてください。)
枕崎の鰹節工場の製造風景
- 枕崎の町は、早朝の入札のサイレンの音から1日が始まります。
枕崎のかつお節屋さん達は、日本一のかつお節を作る使命感に燃え、魚質の良い鰹を手に入れるため真剣勝負で買付けをしています。
- 枕崎では、2月中旬頃から質の良い初鰹の水揚げが始まります。
- かつお節にする工程は、まず頭落としから始まります。
以前は手切りでやっていましたが、今では殆どのかつお節屋でヘッドカッターという機械を使って作業しています。
- ヘッドカットの後は、内蔵を除去します。
尚、内臓取りの時出る「腹皮」は薄塩にして焼いて食べると絶品です。
- 鰹を三枚卸しにするための背ヒレなど背皮を取り除き、手馴れた包丁捌きで次々に三枚卸しにしていきます。
- 3枚に卸した鰹を専用の包丁で4割に切ります。
この作業は力が要る上、仕上げ節の形の出来栄えを左右する重要な作業であるため、この道数十年の職人さんの受持ちになります。
- 切り分けられた鰹を煮籠に並べます。
ここもただ並べるだけの単純作業ではなく、お湯が平均に廻るようにしないと均一なかつお節は出来ません。
- 鰹を煮ます。この工程も重要で沸騰したお湯に入れると身割れ身崩れが発生しますので、差し水を注ぎ足し、ぬるめのお湯にしてから釜入れします。
大体ですが90℃以上で2時間から2時間半煮熟します。この工程で出る煮汁からは鰹エキス・せんじなどが製品化されます。
- 機械化できない全くの人手作業です。
この骨抜きをしっかりしないと、後工程のいぶしの段階で変形等の原因になります。
- 骨抜き時に生じた亀裂を修繕するため鰹のすり身を竹べらで埋め込みます。
これは、最終段階のカビ付け時のカビの侵入を防ぐ役目があります。
- 燻す作業です。
かつお節のかつお節たる所以の工程です。地下室で薪を燃やし、1階から3階まで燻す部屋があります。
この焙乾室を、急造庫と言い煙たなびく枕崎の風物詩であります。
かつお節はここで先ず1階の急造庫で2日~3日燻され、戻し(水分滲み出し)1日次に、2階で燻し1週間位~戻し~3階燻し2週間位~戻しと工程が繰り返されます。
詳しいことは、企業秘密もあり公表できない個所もあり、残念ですがこの程度にさせて頂きます。
- 次に選別と言う重要な工程があります。ここでは大きく3種類に選別されます。
A 最上品(程よい脂)
程よい脂で、最上の本節に仕上げる。
B 脂なし(ギチ)
脂がないので、色目がよく花かつおの原料になる。
C 脂多め(ドブ脂)
ダシとしては、一番出るが濁りも出るパック原料等。
- 表面に付着したタール分と焙乾中に滲み出た脂肪分を、サンドペーパーで削り取ります。
本節の形がこの工程で決まるので熟練工さんの仕事になります。
昔は手削りが主流で、ここで出た削り端材を枕崎弁で「カックレ」と言います。
この「カックレ」の需要は今でもあり、時々関東方面のうどん屋さんからお問い合わせが来ます。
- カビ付け・天日干しを3回から4回程繰り返し最高級の本節が出来上がります。
カビ付け庫は、温度27~28℃湿度87~88%になっておりこの庫に表面を削ったかつお節を入れます。
- 最初のカビ付けは、大体20日位でありその後天日干しします。最初のカビは青カビ(写真15)が発生し、天日干しの時殺菌をし、2番カビを生やします。
この2番カビ以降がかつお節のダシの旨みを引き出すイノシン酸などを醸成すると言われております。
このように早くても半年以上の時間を費やしまたその後も半年位寝かせた方が生きているカビ菌の作用で、旨みがより一層引き出されると言われております。
撮影協力:的場水産様
かつお節トピック
- カビ付けの効果
- カビが節の地肌に菌糸を伸ばすことで、焙乾だけでは取り除けない内部の水分を除去します。
カビによるタンパク質の分解によって、うま味が生じます。
カビの菌糸が脂肪分解酵素を分泌して中性脂肪を分解、だし汁の透明度を高めます。
- 鰹本節
- 鰹本節は、1匹の鰹から極僅かの数量しか出来ません。例えば鰹100kgから本枯節は、15kg~16kgしか出来ません。
しかも出荷するまで半年から1年余り寝かせますので、とても商売としては割りに合わない仕事だと思います。
それでも枕崎の鰹節屋さんは日本一の誇りと使命感に燃え日本の伝統の味を守るためまた食の世界遺産鰹節を築くため毎日鰹と格闘しております。
何か大仰になってしまいましたが一生懸命さだけはわかって下さい。
かつお節の削り方
- 頭と尻尾の見分け方
- 鰹節の表下部に黒い皮が付いている方が尻尾です。
- 持ち方・削り方
- 刃先を自分の方向にし、頭側を台座にあて、ポコッと出ている部分から削っていきます。
初めは粉っぽくボロボロしますが、面が出来てくるとふわふわした削り節になります。
- 本枯節の場合
- カビは無害ですが、気になるようであれば使う分だけキッチンペーパーなどで拭き取ってください。
- 保存方法
- 開封後の削り節はラップなどでくるみ、冷凍庫又は冷蔵庫で保存し、早めに使い切って下さい。
新さつま節の保存は、冷凍庫がおすすめです。
- 粉にしかならないときは?
- 水を含ませたタオル・キッチンペーパー(4~5枚)でかつお節をくるみ、半日~1日置いてから削ります。
上手なだしの取り方
豊かな香りを引き出すには、沸騰したお湯に入れ、弱火で約1分。
一番のポイントは、鰹節の量。量を惜しまないでたっぷり使うこと。
たとえば、4人前、600cc(1人当たり150cc×4人)の場合、鰹節の量は600ccの水に対し、約20gが適当です。
- 鰹節の粉がだしに入るのを防ぐため、ザルはあらかじめキッチンペーパーを敷いておくと良いでしょう。
- お湯が沸騰してきたら、鰹節は一度に入れてください。
- 鰹節を入れたら香りが飛ばないよう弱火にします。
- 魚臭さを閉じ込めないため、ふたをしてはいけません。
- 鰹節が沈んだら、すぐに火からおろし、ザルでこします。この間、約1分が目安です。
一番だし
- 沸騰したら火を消し、削り節を入れ、ゆっくり沈むまで待つ。
- ザル・布巾などでこす。
- おすすめ料理
- 味噌汁・吸い物・うどんそばのつゆ
二番だし
- 沸騰したら削り節を入れ、弱火で3~5分煮る。
- 火を消して、追いがつお10gを入れ、3分程待つ。
- おすすめ料理
- 鍋・煮物
合わせだし
- 出し昆布10~20gを水1000mに1時間以上つけておく。
- 火を入れふつふつ泡が出てきたら昆布を取る。
- 削り節20~40g を入れ弱火で2分煮る。
- ザル・布巾などでこす。